第九章

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「…なに?何が言いたいわけ?」 仰向けになり尚吾を見上げる。 暗い部屋では、尚吾が今どんな顔をしているのかは分からない。 「…直哉君と会わなくて良いのかって聞いてんの。」 やっぱり。これが言いたかったのか 『どいて』と言って溜め息をつき尚吾をどかし起き上がる。 …どうして会えると思う?何を話せば良いんだ。 アノ光景をみたあとに冷静に話なんて出来るわけがない。 「あんなの見た後に、会いたいなんて思わないだろ」 「でも!…会うべきだ」 どうして?何でそんなに会わせたがる?それこそ余計なお世話だ。 「ウルサイ。会うかは自分で決める。何?そんなに会って欲しいのか?直哉と…ッッた!」 咄嗟にカーテンを握るが意味をなさず、勢い良いよく倒されまた組み敷かれた。 そして、きっと怒った顔をしているだろうと思っていた尚吾の顔が 月明かりに照らし出され、漸くハッキリみえた。 …全く予想していなかったこんな顔 複雑そうな泣きそうな顔をして、笑っていた。 「会わせたい訳無いだろ…?本当はずっと閉じ込めてたいくらいなんだから。誰にも見られないように」 、
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