第九章

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「ッッ…ごめん。出てくる」 尚吾から抜け出し、何も持たずに家を飛び出した。 また尚吾を傷つけた。 分かってるよ…優しいお前の事だ。自分の感情より俺を優先してくれてるって事も。全部。 …俺は自分の事ばっかりで、お前を振り回し傷つけてばっかりだ。 「ヤバイ…クソ寒いんだけど」 パーカーにスウェットと真冬にコレだけは流石に寒すぎた。 フラフラと無意識にやって来たのは、昔よく来た公園。 ブランコに座り、夜空を見上げ色々と思い返す。 直哉とは昔から一緒に居て、何をするにも離れた事は無くて。 片想いをして…逃げ出して…でも忘れられなくて。 尚吾とは高校で出会って 秘密を話して、もっと深く仲良くなれた。そして 告白したりされたりと 慌ただしい高校生活になって…俺の中でも尚吾は、只の友達じゃなくなっているのは確かで。 ー…でも、変わらず直哉は俺にとって一番大事な存在で。 「…ハァ」 溜め息をつくと、白い息が出て空中に消えていく。 この息みたいに悩みが全て消えてしまえば良いに。 、
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