第九章

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直哉-side- 家に帰宅して携帯をみるとメールが来ていた。 直ぐに確認するとそれは朔からで。 要を駅で見掛け、知らない男と居たことを知らせる内容だった。 …は?要帰って来てんの? さっきまで姉ちゃんと居たけど何も言ってなかったぞ。 … あ、そう言えば『応援はするかは別』と満面の笑みで言ってたっけ。 待ってる子達が居るとも言ってたし…姉ちゃんやっぱドSだわ。 直ぐに朔に返事をし、詳しく聞かせろと言ったら朔の家で会うことになり話をしていた。 そして、多分…と言うか絶対要と一緒に来ている奴は、あの時要を連れ去った奴だと確信し、どうやって要と会うかを酒を飲みながら考えていた。 結局決まらず飲むだけ飲んで解散した訳だが。 どうしたものかとイライラしながら 雪の積もる道を震えながら帰ると、要と良く来た公園に差し掛かった。 …ちょっと立ち寄ってみるか。 何かに導かれるように久々に足を踏み入れると、こんな時間にも関わらず誰かがブランコに乗っていた。 キィ、キィ、と鳴るブランコの音に合わせるかのように『バーカ!バーカ!』と呟く人物。 近付く度ハッキリしてくるシルエット。しかも聞き覚えのある声。 誰だか分かった瞬間ドクドクと鼓動が一気に高鳴るのが分かった。 まさか…こんな直ぐ会えるなんて。 「…誰が馬鹿なんだ?」 と声をかけるとビクーッと跳ね上がる身体。声を掛けられるなんて想像していなかったんだろう。 恐る恐る振り返り、遊具の周りにあるライトに照らし出された顔。 それはやっぱり、会いたくて仕方なかった奴で。 「…やっぱり本物か。幻かと思った」 とつい本音が声に出てしまうくらい、会えた事が嬉しくて。 そして、逃げ出す要を捕まえ思い切り抱き締めた。 ずっと触れたくて…伝えたい想いがあるんだ。 逃がしてなんかやるかよ。 「頼む…逃げるな。」 要…お前を愛してるんだ。 誰よりも何よりも。お前の事が 、
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