第九章

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スッポリと腕の中に収まる要。 そして、抱き締める腕をキュッと握り締め微かに震える身体。 震えるくらい嫌ならば拒絶してくれたらいいのに。 でも…要は絶対拒絶はしない。 昔から、俺がすることは受け入れてくれた奴だから。 呆れながらも、俺が仕出かしたことに赤面したりしながらも、その全てを 『しょうがないなぁ。直哉は』 と笑って許してくれてた。 そんな優しいお前に付け入って傷付けた。失って奥底に閉じこめた感情がふたを開き 再確認したんだ。 どんな感情が入り混じろうと、やっぱり要が一番大切で。それだけは変わらない想い。 冷え切った要の首筋に顔を埋める。 今更だと怒るだろうか? 今更だと呆れるだろうか? 「要、お前が好きだ。誰よりも何よりも。…今更だと言われようが、この想いは変わらねぇ。もうお前を二度と…失いたくない。」 もう一度俺を選んで欲しい あいつなんかじゃなくて俺を もう二度とお前を傷つけないから。 、
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