1455人が本棚に入れています
本棚に追加
要-side-
突然の直哉からの告白。
頭の中が真っ白になった。
『お前が好きだ』
『失いたくない』
小さい頃から抱いた感情。それは
叶わない想いだと思っていた。
俺を逃がさないように抱き締める腕を、強く握り締める。
「直哉…」
俺も好きだよ。
と言いそうになって、フラッシュバックしたのは神社のアノ光景。
知らない女と抱き合う直哉。
そうだよ…直哉は女が好きなんだ。当たり前の事を忘れていた。
あの女を抱いた手で抱き締められている。そう思ったら身体が勝手に動き腕を払いのけていた。
「…要?」
初めて直哉を拒絶してしまった。
「…ッ、直哉。冗談は止めてよ。」
真っ直ぐ直哉を見据えて出てくる言葉。
「は?…冗談、だと?」
俺の言葉に歪んでいく顔。
直哉は今混乱しているだけ。
きっと、寂しかったんだろう。
離れ離れになったことが無かった俺達。そして知った俺の気持ち。
「直哉は優しいから色々な感情が入り混じってるんだ。俺の気持ちを聞かされて、連絡を絶たれ、離れた二年間。優しいから…受け入れようとしてくれたんだろ。約束もあったから」
俺達はずっと一緒にいようね。
純粋で穢れを知らないあの頃。
ずっとずっと一緒に居たかった。
「俺は…もう約束を果たせないんだよ。直哉」
違う…本当は一番守りたい約束だったんだよ。
、
最初のコメントを投稿しよう!