第九章

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貴方をスキになればなるほどに 醜くなっていく心。 一番近くて一番遠い関係。 最後に会えて嬉しかった。 もう…二度と戻れない。 「元気で…直哉」 世界で一番大切で愛しい人。 「待てよ!要」 掴まれた手から感じる温もり。 また反射的にはらいのける。 「…俺は、女にはなれない。」 「は…?」 「直哉は…女の人が好きだろ?」 「ちがっ、俺は」 「今日、アノ場所でみた」 俺の言葉に息をのむ。 見られた何て思わないだろう。 困惑の色を浮かべさまよう瞳。 頬に手を当てればビクッと震える身体。 「良いんだよ。言っただろ?俺はお前の幸せを壊そうなんて思ってない。いつか…また戻れる。幼なじみという関係は消えない。」 大人になって、あんなこともあったなぁ。何て笑いながら話せる日が来るはずだ。 「一番大切な人だよ。これからも」 上手く笑えているだろうか。 覚えておこう。 この温もりも、瞳も、声も。 18歳の彼の姿を忘れないよう。 恋とは何と儚くて 何と美しいんだろう…。 、
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