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分かってたんだ。
きっとどんなに離れても俺は、お前を愛し続けて行くことが。
扉に体をあずけ、手を目に当て泣く姿を見せないようにするが、泣いて居るのがバレバレで
前を通り過ぎていく人が、不思議そうに俺を見て通りすぎる。
狭い通路に何時までも、突っ立て居る訳にもいかず、涙を拭い自分の席を探す。
これから始まる新しい生活。今までより大人になれたら、また…お前に逢いに行くから。
「すみません。前通ります」
席が窓際だったため、既に座っていた中年のオッサンの前を通り
椅子に座り、馴染みのある町並みの景色を頬杖をつき眺める。
思い出の詰まった町。
お前と出逢い、泣き笑いした大切な町。
お前と出逢って、後悔なんてしてない。
だけど…苦しくて仕方なかったんだ。
逃げ出す俺を
許してくれ。
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