第十章

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午前の講義が終わり、尚吾より一足早く学園内の食堂に来て母さんに電話をしようと思ったのだが… 「ねぇねぇ!要くん!一緒にご飯食べよう?」 「いやいや、私と食べない?」 きゃいきゃいと周りに女子が集まり、電話する暇さえない。 つか、香水の匂い強すぎて頭クラクラする。 「…ごめん。俺約束してるからまた今度ね?」 残念そうにする女子を残し一旦外に空気を吸いに出る。 触られた腕から微かに香る甘ったるい匂い。 …駄目だ。女性を嫌いな訳じゃないが積極的な人はどうも苦手なのだ。 仕方無い。ここで良いか。 外に設置してあるベンチに腰掛け電話をかける。 「もしもし?」 「あ、俺だけど」 「あんた連絡おっそいわ!何回連絡しても繋がらないんだから!」 「あ~、悪かったよ。昨日バイト大変だったんだ」 その後も『全然帰って来ない』やら 『たまには連絡よこしない』やらすっきりするまで小言が続いた。 「分かったの!?」 「分かったって。それより要件は何?尚吾に伝えてた。」 漸く本題に入ると、今まで五月蝿かった母さんが静かになる。 「あ~、実はさ」 「…なんだよ?」 タラ~ッと嫌な汗が頬を伝う。 「バレちゃった」 、
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