第十章

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なんだろう?何かあったのか? 亮と不思議に思いつつ、女の軍団を避け横切ると『要…っ!』と呼ぶ声。 …ッッ。その声だけで誰だか分かる。 「ん…?お前呼ばれてね?」 「…気のせいだろ。行こう」 振り返らず足早にその場を後にする。 …どうして。なんで こんな所まで追い掛けてくるんだよ。 最近は…尚吾との事を考えていた。 こんな俺に愛想尽かす事無く側に居てくれている。 …好きになる努力をしていた。 それなのに…『要』お前がそう名前を呼ぶだけで心が震え、再確認されてしまう。 「ハッ、漸くみつけた!逃げるな」 二年前より少しだけ低く感じる声。 掴まれた腕に集まる熱。 頭がクラクラする。 「…おい。あんた」 「えっ、あ、へい!?」 混乱しているのだろう。板前かと突っ込みたくなるような返事だ。 「こいつ借りるぞ。」 相変わらず強引。しかも周りの目が集まり凄く恥ずかしいんだが。 何とか亮に『悪い』とだけ伝え腕を引かれるままその場を後にする。 近くの公園に入ったは良いが沈黙が続く。チラリと横目でみる直哉は大人っぽくなっていて少し髪が短く感じる。 、
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