第十章

11/18
前へ
/202ページ
次へ
「ただいま」 バイトが終わり自宅に帰って来たが気になるのは隣の部屋の事ばかり。 …もう帰って来てるのだろうか? ヂリヂリと迫る焦燥感。もし、二人が今一緒に居るとしたら…俺は耐えられるのだろうか? 壁に掛かっている時計を見れば22時を過ぎている。 携帯にも折り返し連絡は無い。 一体何をしてる…? 思いつくのはやっぱり俺にとっては最悪なシナリオで。 昔一度だけみた乱れる姿がチラチラと脳裏を過ぎり嫉妬に支配される。 握り締めた掌に爪が食い込む。 こんな事になるくらいならいっそのこと抱いてしまえば良かったのか…? 「って、何馬鹿な事を考えてんだ」 頭を左右に思い切り振り冷蔵庫に入っているビールを取り出し一気に煽る。 付き合っても無いのに束縛なんてしたら嫌われるだろうな。 もういっその事こんな関係を終わらせるためにも、玉砕覚悟でもう一度告白をして離れるべきなのだろうか。 「はっ、そんな事出来ねぇ…今更」 ソファーに身体を沈めうなだれる。 要…早く帰って来て抱き締めさせて。そして安心させてくれ。 、
/202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1455人が本棚に入れています
本棚に追加