第十一章

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直哉-side- 門前で、ソワソワと一人要が出てくるのを待つ。 …昨日はあんまりゆっくり話できなかったし。今日は話したいんだよな。 久々に要に触れて理性が一瞬で飛びそうになった。 相変わらず白い肌…あそこに痕をつけたらどうなる。きっと目立つだろう。 …俺だけの物だと刻みこみたい。そしたら誰も要に触れないだろ って。こんな場所でなに考えてんだ。馬鹿か俺は。 ふと伏せていた視線を上げるとある人物と目が合う。 『……ぁ』 目が合った瞬間互いに少し顔を歪める。そうか…やっぱりこいつもこの大学に居たのか。 視線は逸らさない。かと言って話しかける訳でもない。 話す事なんて無いが…こいつには言いたい事がある。 「あの、少し話しませんか」 …まさか向こうから言い出してくるとはな。近付いて来る男に軽く舌打ちをし『あぁ』とだけ返事をし少し後ろを歩き始める。 あの時、要は俺よりこいつを優先して去って行った。 嫌でも忘れる事が出来ない奴だ。 、
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