第十一章

6/10
前へ
/202ページ
次へ
「…あ、佐々木さん」 ヒラヒラと軽く振りながら近づいて来るのは、学内にいる時とは違う服装をした佐々木だった。 「偶然ね。こんな時間に」 「あぁ、今バイト終わりだから」 なるほど。と簡単に返事をするとニッコリと笑い 「それで?あの話は考えてくれた?」 …あぁ。昼間の話か。この人も諦めが悪いな。答えは変わらないのに 「どうして好きな相手と合コンしないといけないんだ。嫌だね」 「もー、本当頑固ね。軽い気持ちで参加すればいいのに。それに…鈴谷君も貴方が女の子に人気でモヤモヤする可能性だってあるかもしれないのよ?」 それは無いだろう。 言われた時にも少し考えたが、結局その答えになり苦笑いを浮かべる。 「昼間も言ったろ…それは無いよ。あいつには好きな人が居るんだから」 「はぁ、まぁいいわ。何度でも言うからね。夏帆の為に」 そら結構だが結果は変わらんぞ。 なんて思いながらその話は終わり、これから用事があり向かう駅が今日はたまたま同じだった事とか、他愛も無い話をしていると 「あ、ねぇ…私貴方の事尚吾って呼んでも良い?岩崎君って長くて」 「ん?あぁ。別に構わないよ。じゃあ俺は佐々木って呼ばせて貰う。」 「えー、そこは普通名前じゃない?」 不満そうに唇を尖らせながらも、女は基本的に名前で呼ばない。と伝えればまぁいいわ。と納得したようで。 …なんか女にしては気楽だな。なんて思ったりした。サバサバした所とかは嫌いじゃあない。 、
/202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1455人が本棚に入れています
本棚に追加