第十一章

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【今から会えないか】 ドキリと鼓動が高鳴る。なんだか昔に戻ったみたいだ。今はまた会える距離に直哉がいる。 時間を確認すると21時を過ぎている。どうりで頭が少し重く感じる訳だ。 「…今から、かぁ」 寝て頭はスッキリした筈なのに…また尚吾と直哉の事を考えて頭がグルグルして、どうしたいのか、どうするべきなのか分からない。 ――♪♪♪ …なんだよ。今更こんな時間に。と思いながらも通話ボタンを押してしまう自分がいる。 「もしもし」と、素っ気なく出ると焦っているような声が耳に届く。 「ごめん!要、連絡してなくて!」 走っているのか荒い呼吸。ガサガサとなにかに擦れているような音も聞こえる。 …なんだよ。突き放したり普通に戻ったり 訳わかんねぇよ。 「別に…いいよ。」 「はぁ、今、何処にいんの、?」 「…家。今から出かけるけど」 まぁ…まだ布団の中なんだけど。電気を付けようと ノソノソと起き上がると同時にガチャガチャッと鍵が開く音。そして荒く開く扉の音。 「要!?ってか暗っ!本当にいんの?」 電話は切れているが、玄関からは尚吾の声が聞こえる。そしてバタバタとこっちに向かって聞こえてくる足音。 、
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