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「ッッ、行かないで欲しい」
立ち上がった俺の腕をしっかりと掴む熱くなっている尚吾の手。
何をそんな必死になっているのだろう
何処に行くなんて言っていないのに。
「…直哉君じゃないのか?相手」
ドキリと心臓が大きく音を立てた。
「え?…どうしてそれを」
まだ言っていないのに。どうしてそれを尚吾が知っているのだろうか
目を見開く俺に、眉を下げながらゆっくり喋り始める
「実は…会って話しをしたんだ。直哉君と…昨日から居るって事も他のやつから情報聞いてて…その、勝手に嫉妬して、今朝はその…」
…あぁ、なるほど。それで今朝は顔を合わそうとしなかったのか。
でも、あの人と一緒に居たのはどんな関係があるのだろうか?
「…昨日それを伝えたかった、でも連絡つかないし、避けられるし」
我慢していたのに頬を涙が伝う。
「ごめん、本当に」
急に泣き出した俺にビックリしながらも、伝う涙を優しく拭う尚吾の指
…こうなったら全部言ってやる
「…昼間はどうしてたんだよ」
スンっと鼻をすすりながら言うと
「…その、一緒の講義を受けてる奴と話をしてた。佐々木って奴なんだけど」
…あの人の事だろうか。今までそんな人と仲良くしてるなんて聞いたことない。
「……本当ごめん、要。許して欲しい」
ギューッと力一杯に抱きしめられ、苦しくなる
でも、何だかその苦しさが嬉しく思う
…どんな事を話していたのだろう。気になったがそこまでは聞かなかった。
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