第十一章

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「ッッ、行かないで欲しい」 立ち上がった俺の腕をしっかりと掴む熱くなっている尚吾の手。 何をそんな必死になっているのだろう 何処に行くなんて言っていないのに。 「…直哉君じゃないのか?相手」 ドキリと心臓が大きく音を立てた。 「え?…どうしてそれを」 まだ言っていないのに。どうしてそれを尚吾が知っているのだろうか 目を見開く俺に、眉を下げながらゆっくり喋り始める 「実は…会って話しをしたんだ。直哉君と…昨日から居るって事も他のやつから情報聞いてて…その、勝手に嫉妬して、今朝はその…」 …あぁ、なるほど。それで今朝は顔を合わそうとしなかったのか。 でも、あの人と一緒に居たのはどんな関係があるのだろうか? 「…昨日それを伝えたかった、でも連絡つかないし、避けられるし」 我慢していたのに頬を涙が伝う。 「ごめん、本当に」 急に泣き出した俺にビックリしながらも、伝う涙を優しく拭う尚吾の指 …こうなったら全部言ってやる 「…昼間はどうしてたんだよ」 スンっと鼻をすすりながら言うと 「…その、一緒の講義を受けてる奴と話をしてた。佐々木って奴なんだけど」 …あの人の事だろうか。今までそんな人と仲良くしてるなんて聞いたことない。 「……本当ごめん、要。許して欲しい」 ギューッと力一杯に抱きしめられ、苦しくなる でも、何だかその苦しさが嬉しく思う …どんな事を話していたのだろう。気になったがそこまでは聞かなかった。 、
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