第十二章

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要を真ん中に挟み、バーカウンターで誰も何も発さない3人組にバーテンダーの男も困惑していた。真ん中に座る男以外は競うかのように、既にカクテル3杯目を飲み干そうとしている。 両側からピリピリとした空気が漂ってくる。既に顔を合わせて話したと聞いたけど 一体どんな会話をしたのだろうか。聞こうにもどのタイミングで言えばいいのだろう。 俯きながらタイミングを伺う要 「お待たせしました、ルジェカシス・ソーダでございます」 大学生になり、酒を飲む事が増えてきたがどうにも酒は苦手だが、これは酒に弱いと俺でも飲みやすく、よくこれを頼むようになった。 それでも元来酒が弱い体質なのだろう。 2杯目だが少し顔が火照ってきたように感じる 「……」 「……」 コクコクと黙って飲む姿に2つの視線が重なっている事に当の本人は気付いていない。 (…相変わらずこればっかりだな。気まずそうに飲み続ける姿が可愛すぎてシンドい…てか毎度毎度同じ事思うけど、お酒弱いならノンアルコールでもいいのに!) (マジか…そうだよな。もう酒飲めるよな…でもルジェカシス・ソーダって!酒弱いんだな、クソ…白い頬が少し赤くなってるし…可愛すぎだろ) ほぼ同時に息をはき、ほぼ同じタイミングで この店で1番度数のあると思われるカクテル 『アラスカ下さい』と注文するもんだから 「かしこまりました」と言いながら少しだけ頬が緩みそうになるバーテンダー。 そして 「ふふ、おもしろ、同じタイミングで同じ物頼むなんて」 俯きながら笑い始めたかと思うと、そう言いながら上げた要の顔は 先程より赤みがかった頬 少しだけトロンとした瞳 血色の良い唇がさらに赤みを増している (あ、これはダメなヤツ) と同じ事を思う2人 度数の低い酒を2杯しか呑んでいないはず しかし、緊張からか直ぐに酔っ払ったらしい その姿に二人の顔にカッと熱がこもる。 、
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