1455人が本棚に入れています
本棚に追加
要を真ん中に挟み、バーカウンターで誰も何も発さない3人組にバーテンダーの男も困惑していた。真ん中に座る男以外は競うかのように、既にカクテル3杯目を飲み干そうとしている。
両側からピリピリとした空気が漂ってくる。既に顔を合わせて話したと聞いたけど
一体どんな会話をしたのだろうか。聞こうにもどのタイミングで言えばいいのだろう。
俯きながらタイミングを伺う要
「お待たせしました、ルジェカシス・ソーダでございます」
大学生になり、酒を飲む事が増えてきたがどうにも酒は苦手だが、これは酒に弱いと俺でも飲みやすく、よくこれを頼むようになった。
それでも元来酒が弱い体質なのだろう。
2杯目だが少し顔が火照ってきたように感じる
「……」
「……」
コクコクと黙って飲む姿に2つの視線が重なっている事に当の本人は気付いていない。
(…相変わらずこればっかりだな。気まずそうに飲み続ける姿が可愛すぎてシンドい…てか毎度毎度同じ事思うけど、お酒弱いならノンアルコールでもいいのに!)
(マジか…そうだよな。もう酒飲めるよな…でもルジェカシス・ソーダって!酒弱いんだな、クソ…白い頬が少し赤くなってるし…可愛すぎだろ)
ほぼ同時に息をはき、ほぼ同じタイミングで
この店で1番度数のあると思われるカクテル
『アラスカ下さい』と注文するもんだから
「かしこまりました」と言いながら少しだけ頬が緩みそうになるバーテンダー。
そして
「ふふ、おもしろ、同じタイミングで同じ物頼むなんて」
俯きながら笑い始めたかと思うと、そう言いながら上げた要の顔は
先程より赤みがかった頬
少しだけトロンとした瞳
血色の良い唇がさらに赤みを増している
(あ、これはダメなヤツ)
と同じ事を思う2人
度数の低い酒を2杯しか呑んでいないはず
しかし、緊張からか直ぐに酔っ払ったらしい
その姿に二人の顔にカッと熱がこもる。
、
最初のコメントを投稿しよう!