第十二章

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公園に着き、ベンチに静かに要を降ろしその横に起こさないようゆっくりと座る。 ーまぁ、起きた方が都合は良いんだけどな。家の場所とか聞き出したいし。 眠る要の頬に指で軽く触れる。 …相変わらずの低体温。夏は良く運動の後には要に抱き着いていたっけ。冷たくて、抱き着いた後の要の反応が好きだったな。 暑いよ、と怒って言っているのか呆れて言っているのか分からなかったが振り払われる事は無かった。俺を真似して抱きつく奴も居たが 俺が振り払うか、要に振り払われるかのどっちかだった。 まぁ、基本的に俺が振り払ってたけど 「思い返せば返すほど、ほんっと俺って独占欲の塊だったわけな。」 ちゃんと素直になれていたら、こんなにもすれ違う事も無かったんだろうか。 そうすれば、こんなにも焦がれることは無かったんだろうか。 あの時こうしてたら あの時こうしてれば なんて事をいくらでも考えてしまう。 「まぁ、素直になってた所でお前を求める事には変わりは無かったんだろうがな」 自分自身を客観的にみて、無欲で適当な男だと思っていたが存外、欲深い人間だった事を知ったのは要のせいだ 「覚悟しろよ」 まだ眠っている要の額にキスをする 、
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