第十二章

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足早にトイレに向かう直哉を見ることはなく、火照る身体を丸まりながら抱きしめる。 直哉の火照ってる身体や手の熱さ。思い返すだけで頭がおかしくなりそうだ。 キスをされてる最中は…怖いと思った。 それでも直哉の素直な気持ちを知って、嬉しいと思ってしまった。 「…ッッ、あぁ、そうか…あの顔は」 まだ抱きしめられている感覚の残る、自分の身体をさらにギュッと強く抱きしめる。 漸くさっき感じた恐怖を理解した。 あの顔は…あの時、昔尚吾からも感じた同じ感覚 …男の、俺に欲情した男の顔だ。 どうしよう、直哉に何て言えばいいのだろう。混乱する頭の中で必死に考える 「要?…起きてるのか?大丈夫か?」 近寄る足音が止まり、心配そうな声が降り注ぐ ードクン、と心臓が高鳴る 自分でも分かるほど今顔が真っ赤だ。見られたら何か絶対尚吾にはバレる。 「…ん、大丈夫」 顔を見れずそのままの状態で頷く。 「そうか…」 背中をポンポンと軽くたたき、足元に座る気配がする。そして耳元でコトっと何か置かれる音 チラリと横を見ると水が置いてあった。 「酔ってるぽかったし買ってきた」 あー、本当優しいなぁ。ズキリと心が痛む 「ありがと、後で貰う」 ごめんね。…何だか尚吾を裏切っているような気になって更に顔を見れなくなりそうで。 、
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