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「あー、美味い」
買ってきたスルメイカとビールを飲みながら、空を仰ぐ直哉。
…親父かよ。
要はまだ起き上がる気配はなく、隣のベンチに座り2人で飲み直していた。
チラリと様子を伺うと、幾分か赤みが薄れてきているように思うが。
「…」
黙々と柿ピーやスルメイカを食べ、ビールを飲みながら何も言葉を発せられずにいた。
…嫉妬はした。けれど、以前ほど直哉を憎めなくなっているのも事実だ。
それはきっと…直に話して過ごすうちに、嫌な奴じゃないと分かってしまったから。
ギリッとビールの縁を噛み締める。
「……あー、どうかしたか?」
ハッとして声のする方に視線を向ければ少しだけ、緊張したような表情をしていた。
…俺にバレているのか、と心配しているんだろうか。まぁ勘づいてはいるがな
「……」
さて、なんて言うのがベストか
「おい、無視は止めろ。お願いします」
随分と上からの物言いだが下手だな
「別に~、ナニをしてたかなんて俺は知らんよ。だって居なかったから」
まぁ、勘づいてはいるけどな!!!
要はピクリと身体が少し動き
もう1人は明らかに表情が引きつったのを俺は見逃さなかった。
「いやぁ~、別になにもしてないけど」
ゴクゴクと一気にビールを飲み干す姿を見て、要同様嘘をつくのがこいつも下手くそだな。 と呆れながらビールで喉を潤す。
…ほんと、憎んだままでいた方がずっと楽だったのにな。
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