プロローグ

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忘れもしない。あれは中学最後の夏休み。 蝉の鳴き声が、五月蝿い8月の下旬。 「要~起きなさいよ」 ドンドンと扉を叩かれ、その音で目覚める。 携帯のディスプレイを確認すると、午後1時を過ぎていた。 「~…ッッあちぃ」 窓を開けていても、蝉の声と生温い風が部屋に入ってくるだけで、まるで意味が無い。 シャッと、カーテンを開けると、雲1つ無い晴天だ そして夏のジリジリとした眩しい陽射しが、薄暗かった部屋を明るく照らす。 窓を閉め、枕元に置いてあるクーラーのリモコンを手に取り、クーラーを付ける。その間にも 「ちょっと要!!!いい加減起きなさいよ!!ドアぶっ壊すわよ」 と叫ぶ声。こっちも蝉同様五月蝿い存在だ。 溜め息を漏らし、ポリポリと頭を掻きながら鍵を開け、扉を開く。 .
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