第三章

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はっとなり、直哉を見ると柔らかい笑みを浮かべこっちを見ている。 …墓穴った。 「ほら、鞄返せよ」 直哉から取り上げるように鞄を取る。俺は昔からこの笑顔に弱い。 自分の気持ちを伝えても受け入れて貰えるんじゃないかと…錯覚してしまう。そんなこと有り得ないのに。 今こいつには彼女が居る。こいつの幸せを壊すつもりも、邪魔するつもりもない。 だから、俺には構わないで欲しいのに。気持ちを伝えて拒絶され、話す事すら出来なくなったら…俺はきっと立ち直れないから。 …そんなこと、お前は知らないけど。 「要…俺にさ」 直哉が、何か言ってる途中タイミング良く携帯がなる。 この着うたは俺じゃない。 「っち」 おい。ディスプレイを見て不機嫌丸出しだな。しかもそのままポケットに携帯をしまう。 「…電話だろ?」 「良いから。気にすんな」 「いやいや!でろよ」 緊急な連絡だったらどうすんだよ。俺がそう言うと渋々出る。 「何だよ。…麗香」 …あぁ、出ろなんて言わなきゃ良かった。馬鹿だな。俺。 、
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