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はっとなり、直哉を見ると柔らかい笑みを浮かべこっちを見ている。
…墓穴った。
「ほら、鞄返せよ」
直哉から取り上げるように鞄を取る。俺は昔からこの笑顔に弱い。
自分の気持ちを伝えても受け入れて貰えるんじゃないかと…錯覚してしまう。そんなこと有り得ないのに。
今こいつには彼女が居る。こいつの幸せを壊すつもりも、邪魔するつもりもない。
だから、俺には構わないで欲しいのに。気持ちを伝えて拒絶され、話す事すら出来なくなったら…俺はきっと立ち直れないから。
…そんなこと、お前は知らないけど。
「要…俺にさ」
直哉が、何か言ってる途中タイミング良く携帯がなる。
この着うたは俺じゃない。
「っち」
おい。ディスプレイを見て不機嫌丸出しだな。しかもそのままポケットに携帯をしまう。
「…電話だろ?」
「良いから。気にすんな」
「いやいや!でろよ」
緊急な連絡だったらどうすんだよ。俺がそう言うと渋々出る。
「何だよ。…麗香」
…あぁ、出ろなんて言わなきゃ良かった。馬鹿だな。俺。
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