プロローグ

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「…あ。そうそう」 ヒールの靴を履きながら、姉貴が思い出したように呟く。 「…なに?忘れ物?」 「違うわよ!!今日直哉君が来るらしいわよ?」 …は?直哉が? だけど、携帯にはメールなんて来てなかった。 「俺には何も連絡来てなかったけど?何で姉貴が知ってんだよ」 直哉の奴。何で俺にじゃ無くて姉貴なんかに。 …まさか。直哉って姉貴の事が 「家に電話があったのよ。携帯壊れたから、新しいの買ったら来るって」 「え?あ…そうなんだ」 「起こそうか?って聞いたけど、寝かせてて良いですよ。って言われたから、起こさなかったのよ。」 呆れたように言われ じゃあ伝えたから。と言い残して出ていった。 …良かった。そうだよな。直哉に限って姉貴の事を好きになるなんて、あり得ないよな。 彼氏居るって知ってるしな。ホッとしながらも、寝癖のついた前髪をグシャッと握り締める。 .
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