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-直哉sid e-
要に髪を梳かれるように撫でられ、昔を思い出し心地良く感じる。
ごめん。
そう繰り返すだけの要に、俺はそれ以上追求出来ずにいた。
顔は見えないが、要が泣いているのが分かったから。
分かることは、俺は嫌われては居ないと言うことだけ。
その事に安心して、これ以上要に謝らせたく無くてギュッとその状態のまま、抱きしめる。
そのせいか、要が息をのみ身体が強張った気がした。
「ッッ!直哉、やめっ、離れろ」
「…苦しいか?」
体重はかけてはない。
耳元で囁くように呟くと、要の身体がビクリと動く。
…要が耳が弱い事を利用して。
あと、要の性格からして今の俺の状態から、断る訳ないという自信。
「~~ッッ!苦しくは…ない…け」
予想通りの反応に、笑みを浮かべ『じゃあ良いだろ。』と言って少し抱き締める腕に力を入れる。
…物凄く安心する。やっぱり幼なじみだからだろうか。
と思って居ると諦めたのか頭を軽くパシっと叩かれた。痛い。と呟くと
「自業自得だ。バカ」
と言われ、またその反応に嬉しくなり笑みを浮かべた。
…決して俺はMでは無い。
昔に戻ったみたいで嬉しくて笑っているだけだから。
と、誰に言い訳をしているの分からないが言っておく。
と、独り言を心で言っていると要が思い出したように口を開いた。
「…そう言えば、さっきは何で直哉切れてたんだ?昼ご飯の事も、教えて貰って無かったし…彼女と喧嘩でもしたのか?」
……。そう言われて思いだした。
頭を冷やす為に、無言で歩いてたんだっけ。てか、彼女と喧嘩して八つ当たりしたと思ってたのか。
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