第四章

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-直哉sid e- 要に髪を梳かれるように撫でられ、昔を思い出し心地良く感じる。 ごめん。 そう繰り返すだけの要に、俺はそれ以上追求出来ずにいた。 顔は見えないが、要が泣いているのが分かったから。 分かることは、俺は嫌われては居ないと言うことだけ。 その事に安心して、これ以上要に謝らせたく無くてギュッとその状態のまま、抱きしめる。 そのせいか、要が息をのみ身体が強張った気がした。 「ッッ!直哉、やめっ、離れろ」 「…苦しいか?」 体重はかけてはない。 耳元で囁くように呟くと、要の身体がビクリと動く。 …要が耳が弱い事を利用して。 あと、要の性格からして今の俺の状態から、断る訳ないという自信。 「~~ッッ!苦しくは…ない…け」 予想通りの反応に、笑みを浮かべ『じゃあ良いだろ。』と言って少し抱き締める腕に力を入れる。 …物凄く安心する。やっぱり幼なじみだからだろうか。 と思って居ると諦めたのか頭を軽くパシっと叩かれた。痛い。と呟くと 「自業自得だ。バカ」 と言われ、またその反応に嬉しくなり笑みを浮かべた。 …決して俺はMでは無い。 昔に戻ったみたいで嬉しくて笑っているだけだから。 と、誰に言い訳をしているの分からないが言っておく。 と、独り言を心で言っていると要が思い出したように口を開いた。 「…そう言えば、さっきは何で直哉切れてたんだ?昼ご飯の事も、教えて貰って無かったし…彼女と喧嘩でもしたのか?」 ……。そう言われて思いだした。 頭を冷やす為に、無言で歩いてたんだっけ。てか、彼女と喧嘩して八つ当たりしたと思ってたのか。 、
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