第五章

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「なに?」 何とかいつも通りに返事をしているつもりだが、大丈夫だろうか… すると要は少し眉をひそめ 「体調悪いのか?さっきから様子変だけど…」 心配そうな顔に罪悪感が… こんな時に限って麗香来てねぇし。あいつ本当タイミング悪いよな。 まぁ、こんだけの人混みだし迷っても仕方ないのかもしれないが… 「悪い…平気だから。ただ麗香来てねぇから、少しイライラしてた。」 微笑して、ポンッと頭を撫でると『そっか…なら良いけど』 と言って携帯を取り出し触り始めた。 嘘は…言ってないしな。 何とか誤魔化せた。と安心しきって気付いて居なかった。 要が今にも泣き出しそうな、戸惑った顔をしていたことに。 それから、五分程して漸く麗香が待ち合わせ場所に現れた。 「ごめん~!準備に想像以上に時間掛かっちゃって!」 何時もの調子で謝ってくる麗香に、溜め息をつく。 浴衣や髪、化粧をすればそりゃ時間掛かるだろうな。俺は絶対無理だわ。 「ったく。気をつけろよな。待つの嫌いなの知ってんだろ。」 そう言うと、『ご、ごめんね!気をつけるから』と慌てて謝り少しシュンとしたようにみえる。 「ちょ、直哉言い過ぎだ。」 そう言って肘で小突いてくる要。 …あぁ。このやりとりも数ヶ月しか経ってないのに凄く久々に感じる。 要には、いくら注意されてもイラッとはこないんだよな。 「ハイハイ。悪かったよ。」 微苦笑をして素直に謝る俺。 それをみて、ビックリした顔をする麗香。……まぁ謝ったからだろうがビックリしすぎだろ。 そんな麗香に気付いたのか 「あ、自己紹介してなかったね。俺、鈴谷要って言います。宜しくね。」 …ニコッと微笑む要。 本当王子みたいだよな。中学ん時女子がそう、騒いでいたのを思い出す。 「あ、私は佐々木麗香です!こちらこそ宜しくお願いします!」 顔を紅くしながら、自己紹介をしペコッと要に頭を下げる麗香。 、
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