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「じゃあ、デート楽しんでね。行こう。」
グイっと腕を引かれ歩き始める尚吾。
後ろからは、直哉の声がするが強く握られた手からは逃れる術が無い。それに、何時もと雰囲気が違うから戸惑ってしまう。
何も言葉を交わさないまま付いた場所は
境内の奥にある、立ち入り禁止の場所の林を抜けると町を見おろせる丘。此処は昔直哉と来た事のある場所。
尚吾良く知ってたな。
…尚吾の顔を伺うが、何を考えているのか分からない。
取り敢えず草むらに腰を下ろし、尚吾の切れている原因を聞きたいが緊張してしまう。あんなみっともない処を見られたんだ。そう思っても仕方ない!!
あ…でもお礼くらいわ言っとかないとな。
「…しょ、尚吾!!!」
「!!!!え、はい!!」
バッと尚吾に向かい直し声を掛けると、俺以上にワタワタと慌てた様子で顔を上げ目が合う。
…尚吾の顔を久々に見たな。
もう、何時もの雰囲気に戻ったみたい??
「…ありがとうな。本当助かった。ハハッ!俺本当尚吾に助けられてるよな。男なのに情けないよな…ゴメンな?」
微笑顔を浮かべお礼と謝罪をする。本当何時見離されてもオカシクないよな。離れられたら…寂しな。
「…馬鹿だな。謝る事なんて無いだろ。」
俯いている俺の頭を優しく撫でる尚吾。
「…それに謝るなら俺の方だろ?要が好きな相手にあんな事言ってゴメンな?泣きそうな要みたらさ…我慢出来なかった。」
「そんな事ない!!あれは…全部俺の勝手な感情のせいだから。もっとコントロール出来る様になるから!お前に頼らなくて良いように…」
だんだん小さくなっていく声。
俯いているから尚吾の顔はみえない。あんな事になって直哉不審に思っただろうな。…諦め本当悪すぎだな。
早く諦めないと。
幼馴染ですら居られなくなる。
「…要」
そう言って、俺の頬を包み込んで顔を上げさせられた先に見えたのは、尚吾の悲しそうな顔。
「俺は、気にしない!迷惑だなんて思ったら優しくなんてしないし、助けたりしないよ。もっと頼ってよ。」
「尚吾は優しいから…ッッ!!??」
息が掛かる程近くにある尚吾の顔。目を逸らしながら訴えていると尚吾の顔がさらに近くなった。
気付いたら口元に何かが触れている。
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