君との出会い~尚吾~

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今回は倍率が例年より高かった。だから落ちる人数も比例して上がる訳で… 何か、初めて社会の厳しさをこの歳で知った気がする。 …っと。母さん心配してたから電話してやらないとな。 携帯を取り出しコールを鳴らすとワンコールで『やっとしてきたぁ!』と大声で叫ばれた。 うるさっ!と携帯を耳から遠ざける。鼓膜破れるかと思ったよ。 「ちょっと!?尚ちゃん!どうだったの!?も、もしかして…」 「いや。心配しなくても受かってたから。安心して」 ため息混じりに言うが、顔が綻んでるのが分かる。少しの沈黙の後 『よ、よかったねぇ~!尚ちゃん!良く頑張ったねぇ~』 グズッと鼻水を啜る音が電話越しに聞こえ、さらに顔が綻ぶ。 「ハハッ。母さん泣くなよ。」 『だ、だってぇ~!嬉しくてぇ』 泣いたら止まらないからな。何とか宥め落ち付かせ『俺、今から書類とか貰って帰るから。』と言って携帯を切る。 、
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