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書類も無事貰い後は帰るだけだ。
来た道を戻り再びボードの前にたどり着き、少しだけ周りを見渡すと一人の他校の制服の男に目が止まった。
見つけた瞬間ドキッとしたのを覚えている。
黒いサラサラした髪は風で靡き、白い肌は寒さからか紅く染まり、シュッとした鼻筋に、赤い唇、切れ長の綺麗な瞳。
小さい顔に完璧に配置されたパーツたち。
男に綺麗だ…何て思ったのは初めてで自分に少しの困惑を覚える。
男に綺麗って…馬鹿か俺。
もう一度視線を戻すと携帯で話をしていた。
「うん。受かってたよ。今から書類取りに行ってくるよ。また後から連絡する。皆に言っといて?」
聞いたら駄目と分かって居るが聞いてしまった。多分家族に連絡していたのだろう。そして一つの疑問が浮かぶ。
それは表情だ。
無表情で淡々と報告する姿に小さな疑念を抱く。
合格して、嬉しくないのだろうか??
携帯を直す仕草をしたかと思うと手を止め携帯を眺めている。
と思ったら、軽く息をはきゆっくりと耳元にあて
「もしもし?掛ってくると思った。」
そう言って話し始めた。
さき程まで無表情だったのに今は口角が上がり、優しい雰囲気を纏っている。もしかしたら…彼女からかな。
「ハハッ。うん。合格してたよ。」
でも目を閉じ話す姿は何処か儚くさえみえた。
どうしてそんな風にみえてしまうのだろう。
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