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「本当にごめん。拾ってくれてありがとう。」
盗み聞きしたりとか言えないから、色々な意味のこもった謝罪をすると『良いよ』とクスクスと笑われる。
名前…知りたい。
聞くか聞くまいか悩んでいると
『うわっ!雪振ってきた』『最悪』『傘持ってきてないしー!』
と少し騒がしくなり、空を見上げると灰色の雲から雪が舞い散っている。
「どうりで寒いはずだ…」
「…そうですね」
そう言って空を見上げている彼が余りにも、絵になっていて…
簡単に消えてしまいそうな…悲しそうな瞳に何が映っているのか。
知りたい。
その衝動に駆られる。
電話していた【ナオヤ君】が原因なのか?そんな事聞けるはずもなく
それじゃあ…と言って歩き出した彼の腕を咄嗟に掴むと
『え?』とビックリしたような表情をして振り返る。
「あ、ごめんなさい!その…名前教えてくれませんか!?」
「へ?…あ、あぁ。【鈴谷 要】だよ。君は?」
「尚吾!岩崎尚吾です!」
「ハハッ!四月から此処だよね?宜しくね。尚吾君」
鈴谷要…俺の人生で一番大切な存在になる人物との出逢い。
…なぁ?今更出会わなければ何て思っていないよ。
君には大切な人がいて。
俺には君が大切で。
君には信頼されていて
俺はそれに答えたくて
、
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