第六章

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-要side ベットの上に転がりボーッとするとさっきの場面が嫌でも再生される。 姉貴も心配してたな…。 直哉も心配してるかな…。尚吾もきっと不安になってるんだろうな。心配もしてるだろうし。 ヤバいな…。あんなに真っ直ぐに気持ちを伝えられた事がない。 ---…… 「俺は本気だよ…要が好きだ」 そう熱い視線で訴えられ身動きが出来ない。何時から? お前は何時から俺の事を想ってくれていたんだ。 顔に熱が籠もる。恥ずかしい。 「…っ、俺」 心臓が五月蝿い。何て言ったら良い?俺は直哉が好きだ。尚吾も知ってる筈なのに。 「…要」 手をギュッと握られ、視線を合わせると優しい笑みを浮かべる尚吾。 「ふっ。何て顔してんの。」 何処か嬉しそうな楽しそうな顔。 「るっさい…誰のせいだよ…笑うな、馬鹿」 「…悪い。でもやっと言えたし…要のその俺を意識してますって顔みると、嬉しいんだよ。」 指を絡ませながら言われまた顔が紅くなる。こいつ…意地悪だ。 「要が直哉君を好きなのは知ってる。でも…俺は俺なりにお前を想うよ。嫌って程側にいて、傷付いたら俺が慰めてあげる。守ってあげるよ」 …こんなに想われてただなんて。 恥ずかしいやら、嬉しいやら…色々な感情が渦巻いて、涙がツーっと頬を伝い流れる。 それをみて、尚吾は困ったような顔をしたかと思うと 徐々に近づいてくる顔。 後数センチという所で -ドーン! と今日一番の花火の音が鼓膜をゆらし意識が戻り、手を振り払い尚吾の身体を突き放す。
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