第六章

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「あ、う…ごめん!俺帰る」 バタバタと花火をまともに見ることなく逃げるように走り去る。 もーやだ。 心臓ドクドクして五月蝿い。 手の甲で口を抑えながら、静まれ静まれと言い聞かせながら走るのだった。 俺が走り去った後『可愛すぎるだろ…何アレ』とへにゃりと情け無いくらいに、頬を緩め尚吾が笑って居たことを俺は知らない。 ------…… 直哉side …一体あれは何だったんだ。要を連れ去って行った男。 ギリッと無意識に歯を噛みしめる。 要を見るあの目。まるで大切な奴を俺から守ろうとしていた。 ムカツク。要も文句一つ言わず後を付いて行ったし。意味が分からない。 どうしてあんな奴を俺より優先した?あいつの方が大事なのか? 高校に入って要は変わった。 あいつの影響か? 「絶対許さねぇ」 「…え?直哉?どうしたの?」 裾を掴んできた麗香の腕を振り払い『帰る』とだけ告げ帰路につく。 イライラし過ぎて頭を冷やさないと、要を傷付けそうだ。 …ちゃんと話がしたい。 昼間はあれで満足したが、ちゃんと話し合わないと今の要を理解出来ない。 、
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