第六章

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要side -コンコン と静かに音が響く。 ベランダから…。心臓が大きく高鳴る。文句を言われるのか? …カーテンに手を伸ばすが躊躇(ちゅうちょ)してしまう。今直哉の顔は観たくない。 あれこれ考えていると再度コンコンと音が鳴り『要…居るだろ?鍵開けろ』と柔らかい声。 それに導かれるようにカーテンを開けると真剣な顔をした直哉が立っていた。俺が帰ってくるの待ってたのか? カラカラと扉を開け中に入れる。 「…遅かったな。この不良息子」 「う゛…ごめん?」 もう怒ってないのかな。チラリと様子を伺うがわからない。 そして…やっぱり俺が帰って来るのを待ってたんだ。 俺のベットに腰掛けると『で?』と口を開く。 「こんな時間まで何してた?」 そう訪ねられ、また思い出しカァアっと顔が熱くなる。 その反応にピクリと直哉の眉毛が動く。 「…どうした?言えないのか?」 ピリピリとした空気。ヤバい…直哉切れかかっている。 でも…男友達に告白されてました!何て言えるわけ無いだろ。 「…ごめん」 言えない。直哉には何も言えない。 お前が好きな事も。 友達に告白された事も。 お前の彼女に嫉妬してる事も。 直哉…お前には秘密にしていることだらけだ。 「ごめん…」 顔を見れず、俯いたまま謝ることしか出来ない俺。 「ッッチ。ふざけんよ」 そう、低い声が聞こえたと同時に床に押し倒される。 、
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