第六章

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いきなりの事で放り投げていた鞄に頭を打ち、尻もちまで打ってしまった。 「…ッッつぅ~!」 痛みに顔が少し歪んだが何とか片目を開けると 俺の顔の両側に手を突き、冷めた目で見下ろす直哉の顔。 あまりの冷たさにゾクッとしてしまう。直哉に今までこんな目を向けられたら事があっただろうか? …怖い。初めて直哉に恐怖を抱く。 「なお…」 「なぁ…お前あの男が好きなの?」 その言葉を聞いた瞬間頭がフリーズする。言葉が思い付かない。 まさか、直哉にこんな事を言われる日が来るなんて…。 何とか首を左右に振る。 誤解はされたくない。 「ふ~ん…じゃあ何で顔赤くなったんだ?何で俺を避け始めた?」 「赤くなんてなってな…それ、に…避けて、なんて」 上手く声が出ない。情けなく声まで震えている。 その間にも直哉の胸を押し退かそうとするがビクともしない。 「誤魔化すな!」 腕を捕まれ怒鳴られる。 涙まで出てきたが左右に首を必死に振る。 、
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