第六章

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その言葉に見開かれる目。 そりゃそうだよな。幼なじみからしかも男から告白されるなんて…誰も思いはしないだろう。 「な…に言ってんだ」 徐々に歪んでいく顔に しまった…。と思ったが一度口に出したら止まらない。 「俺は…昔からお前の事が好きなんだ。誰よりも大切だったよ。女よりも直哉が好きだった。勿論最初は戸惑いもした。嫌われたく無かったから離れもした。」 そう…忘れる為に離れたのに想いは消えず、増すばかりで。 そんな自分が情けなくて。 「…気持ち悪いだろう?だから言わなかったんだ。…でも…」 泣いたら駄目だと分かっていても、涙が溢れ止まらない。 静かに、手を振り払う事もせず黙って聞いてくれている直哉。 「そんな、俺の勝手で直哉を傷つけたよね‥だから…直哉は何も悪くないんだよ。全部俺のせい。」 スルスルと頬から手を退かし、直哉の胸を押すと簡単に離れる身体。 あ~…凄く情け無いくらい涙が止まらない。そしてもう後戻りは出来ない…という現実。 何とか笑って別れたいんだ。 「…好きになってごめんね」 上手く笑えているだろうか。きっと涙でグシャグシャの顔。 …でも不思議と後悔は無いよ。 「要…俺は……そんな目でお前を見たことは無い。」 静かに、俺の目を見据え伝えられる【断り】の返答。 …【拒絶】はしなかった。【否定】もしなかった。 「うん。…知ってる。お前の幸せを壊そうだなんて思っちゃいない。…俺の事は気にしなくて良いから。」 ありがとう。最後の最後まで優しい【幼なじみ】 、
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