第六章

11/15
前へ
/202ページ
次へ
…だけど、もう側には居られない。二人を見てるのは辛いから。 それ以上に気持ちを知られて、我慢出来る自信がない。きっと今まで以上にお前を悩ませ傷つけるから。 だから… 次会うときは【親友】として会える時だ。それまでは、もう二度と此処には帰って来ない。 「…出合わなければ良かった。」 嘘。そう思えたらどんなに楽かな。出逢えて良かった。幼なじみとして過ごせて良かった。 「彼女と仲良くしなよ?あんまり冷たくしたら駄目だからな」 寝息をたてる直哉の前髪を起こさないよう払いのけると眉を寄せる。 起こしたかとドキリとしたが、起きてないようだ。 愛は相手の幸せを願える。 何て誰かが言っていた。確かに…直哉には幸せになって欲しい。幸せそうに笑っていて。 『要!おせぇよ!バァカ』 ただ、その笑顔の先に俺が居たならどんなに幸せだろうと…そう思うんだ。 「直哉…愛してる。きっと…ずっとな。約束破ってごめん」 額にキスを一つ落とす。これがきっと最初で最後のキス。 、
/202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1455人が本棚に入れています
本棚に追加