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こうして、死したシリウスの御霊は狼を守護する女神アルテミスの前にいた。
「……それでは、どうしてもベガを助けたいのですね?」
彷徨い餓死を待つだけだった自分に救いの手を差し伸べてくれたベガ、
シリウスはどうしても彼女に恩を返したくて、女神に彼女を救う為の嘆願をしていた。
「はい!!」
シリウスは一途な眼差しで女神を見詰める。
「……分かりました、貴方にオーガに対抗する力を授けましょう」
「本当ですか!? 女神様!!」
シリウスは目を輝かせる。
「但し、期限は1ヶ月です」
「えっ!?」
「それを過ぎれば、貴方がベガを助けている事を問わず、天空で私に付き従うため、星となるのです」
シリウスは一瞬戸惑ったが、ベガを救うには、もう他に方法などは存在しない。
……決断するしかなかった。
「分かりました、それで構いません」
女神は満足げに頷くと、シリウスを白銀の剣を携えた人間の青年へと姿を変えたのだった。
「では、1ヶ月後に、その時に貴方の願いが叶っていることを祈っています」
そして、女神はこう告げると、シリウスを村へと引き戻した。
このようにして、シリウスの人としての1ヶ月間が始まった。
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