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その日も私は扉を睨みつけます。
私はこの扉の鍵も、鍵を持って挿すための手も、扉を開くための握力もあったのですから、開けようと思えば開けることも出来たでしょう。
しかし、私如き臆病者は、ただそこに数瞬立ち尽くすだけで、それを実行には到底移せないのです。
そうこうしているうちにも、興味は次第に膨らみます。
その、興味という名の風船は、私の自制心を圧迫するほどに膨らんでいきます。
風船なのですから栓をすれば、きっとこんな興味など吹き飛んでいくのです。
しかし、みるみる膨らんでいく風船の栓を止めようという意思を、私は持ち合わせていませんでした。
このままでは、いつそれが破裂し、私に我慢してきた最悪の行動を取らせるかわかりません。
私はなんとかして、扉を破るという最終手段をとらずに、坊っちゃまの御作業の正体を暴こうと、画策を始めました。
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