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ある日の事、楽屋に花が一本生けてあった。
‥カサブランカ。
「なんや、珍しな。‥‥」
花に興味の無い俺は鞄を机に置き枕がわりにうたた寝を始める。
うつらうつらと夢ン中。
微かに漂う花の香。
そうしている内に次から次と皆が楽屋入りして行く。
俺の相方はまだ‥‥珍しい事だがたまにある。
きっと渋滞か何かに巻き込まれてんやろ。
ふと、女芸人が口にした言葉。
「なぁなぁ、この花のイメージって藤原さんに似てへん?」
ピクッと名前に反応してしまう。
黙って聞き耳をたてていると、
「ほらぁ、なんか一本だけ凛としててさ、葉のシャープさが空手着の時の真剣さみたいで、‥‥」
「えぇー、一本だけ凛としてんやったら、‥そやな、カラーのイメージやけどな。‥」
と、力説を始めたもんだから段々と俺は腹がたってきて
ドンッ!とわざと大きな音をたて腹立たしそに起きる。
「チッ、‥うっさいんじゃ。‥」
と毒づくと楽屋内はシーンとばつが悪そうに静まりかえる。
そこへ俺の相方が何も知らず入ってくる。
「‥ウッス、‥‥」といつもより幾分低い声で俺の傍にくる。
「ウッス、‥」
俺も返事を返してアイツの顔を見る。
‥フーン、この花のイメージかぁ。
そんなんとちゃうと思うけどな。
俺があまりにもマジマジと顔を眺めるのを不審がり
「ん?‥どないしたん?」
心配気に俺を見る。
「あぁもう、うっとぉしい!」
と払い除けると
「アハハ、相変わらず機嫌悪いやんか。」と、笑う。
「あの花、お前のイメージなんやと。」
先程の話題をふる。
「はぁー?」と、首を捻りワケわからんがなと呟きながら花を眺める。
そして、ニヤッと笑い蕾を見て一言。
「エロっ!‥ってゆうか俺のこんなんとちゃうで。もっとデカイって。
アメリカンドッグやもん。しかも被ってないしや。」
「アホか!朝から何、下ネタゆうてんねん。お前のなんかせいぜい、ポークビッツじゃ!それにそのネタ、前大阪でつこたやつやんか。」
「えぇー!せめてシャオエッセンにしといてや。‥」
「ハハハ、肉汁溢れるってか?」
「やって、男の子ですから。」
「ホンマお前下ネタ好っきやな。」
笑いながらゆうと耳もとで「ちゃうよ、好っき なんはお前だけやで。」と囁くもんだから顔を少し赤らめて「‥アホ‥。」と呟く。
ハハハ、と笑うアイツと同調するように花が揺れた。‥
少し気分の晴れた俺はアイツと本日のネタ合わせをする。
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