美術の時間‥再提出

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気付かないうちに雨が降りだした。雨音がはやくなる。 兎に角、納得させなアカンがな‥ 不本意ながら、俺はコイツに惚れてしもうてる。それも完璧に‥ その証拠にこの俺が、キレずに宥めようとしてんねんから‥ けどなぁ‥はい、そうですか って訳にもいかんやんなぁ‥ 重たい腰をあげて 「ほなら、ゆうたるよ。‥ちゃんとコッチ向  けや!」 「おんっ!」 嬉しそに満面の笑みをたたえてコッチを向く。 すぅーっと大きく息を吸い込み、 「好きやよ(仮)!」 と、言って笑ってやった。 「えっ‥!ホンマに? 嬉しいー! ゆうてくれ  た…けど、(仮)ってナンなん!!?」 驚いたアイツに近づき、いきなりガバッと胸元を開ける。 人の急所でもある胸骨の辺りに吸い付く。色気無し、手加減無しのただただ吸い付く行為なのに‥ 「痛いンッ‥何す‥ンッねンッ‥ややぁ‥アッ」 鼻にかかったいつもより少し高い声。 音をたてて口を離すと、ソコにはくっきりと紅いマーク。遠目から見るとまるで、ペンダントトップのようだ。 指先で確認するようになぞりながら、 「(仮)のシルシやから‥痕が消え失せるまで  に、俺にちゃんと言わして見せてみ」 そう言って笑うと、 「‥おっん‥頑張る! 絶対に言わして見せ  たる!」「まっ、頑張りや‥」 痛いくらいに抱き締められ、雨音を聞きながら、アイツの心音と俺の心音が重なるのを心地よく感じていた。 続けて→その②へ
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