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「雨降ってるやン。」
外に出て初めて気付いた藤原が言う。
呆れて笑いながら、
「知らんかったンかい。どうする? 」
「エッ‥濡れて帰らなしゃぁないやン」
「アホか‥また発作デンで」
ホンマやなぁ‥と呟き空を眺める。
校舎からはブラスバンドの音が聴こえてくる。
静かに時間が流れて
沈黙が心地よい…
「今のウチに描いて提出してまぉか」
「エッ‥」
何か言いたげに口ごもる。チラリと見ると、腕組み頬に手を当てて、ブツブツ言っている。
「ナンやねん! はょ済ませてたら明日楽やン」
恨めしそうに視線を送り、
「…楽しみに‥しとったのに‥」
低く小さい声が、雨音に混じって響く。
‥コイツの事やから明日は会ってくれヘンやろ
うし
言葉を飲み込んだ。
「ウッサイ!! 描いてしまうで!ほら~美術室に
いこや」
「‥おん‥」
どうせ俺の意見ナンか聞いてくれる訳がないし、やってね~まだ(仮)やもン‥
それでもまだ少しの間一緒に居れる事が嬉しかった。
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