美術の時間…再提出②

2/5
前へ
/384ページ
次へ
「雨降ってるやン。」 外に出て初めて気付いた藤原が言う。 呆れて笑いながら、 「知らんかったンかい。どうする? 」 「エッ‥濡れて帰らなしゃぁないやン」 「アホか‥また発作デンで」 ホンマやなぁ‥と呟き空を眺める。 校舎からはブラスバンドの音が聴こえてくる。 静かに時間が流れて 沈黙が心地よい… 「今のウチに描いて提出してまぉか」 「エッ‥」 何か言いたげに口ごもる。チラリと見ると、腕組み頬に手を当てて、ブツブツ言っている。 「ナンやねん! はょ済ませてたら明日楽やン」 恨めしそうに視線を送り、 「…楽しみに‥しとったのに‥」 低く小さい声が、雨音に混じって響く。 ‥コイツの事やから明日は会ってくれヘンやろ  うし 言葉を飲み込んだ。 「ウッサイ!! 描いてしまうで!ほら~美術室に  いこや」 「‥おん‥」 どうせ俺の意見ナンか聞いてくれる訳がないし、やってね~まだ(仮)やもン‥ それでもまだ少しの間一緒に居れる事が嬉しかった。
/384ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71人が本棚に入れています
本棚に追加