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「オッ!ラッキーやン。鍵開いてンで」
って確かめてから決めてや、開いてなかったらどうすんねん。
適当に向かい合わせに座り描き始めた。
静かな教室にエンビツのはしる音が響く。
お互いに何も言わず、ただたまに視線が合い俺は照れくさくなる。
‥ンッウフフ‥ 思わず笑みが零れる。
チラッと一瞥された。
‥アカン‥また、キッショって言われてしまうやン
慌てて緩んだ顔を引き締めて真顔になる。
「‥表情コロコロ変えんなや!描きにくい!」
「‥ゴメン‥」
怒らせるつもりないのに‥
真面目なアイツの顔にみとれてしまう。
「なぁ‥俺後もうちょいやけど、どんなもん?」
いきなり言われて、
「えっ!俺まだや‥待ってや」
「おっそいわぁ~何やってんねン」
「黒いトコが多すぎやねん! 」
「うっさいわ!黙ってはよ描け!」
ガラガラッ~‥
「おっ! 真面目に描いてるか?」
先生が絵を覗き込むようにやってくる。
「俺描けたからなぁ~。終了~!」
そう言って雑談を始めた。
‥先に提出してまうか?
ナンやねん、楽しそに笑いヤガって‥
つい上目遣いで睨んでしまう。
「目付き悪いでぇー」
「生まれつきじゃ!ほっとけ!!」
先生が俺の側に来て後ろから覗く。
顔が直ぐ横で近い。
「中々良く描けたな。これでええよ。」と、言って肩に手を置く。
「ホンマに! じゃ終わりやー。井本帰ろや。」
「‥おん‥」
カバンを持って美術室を後にする。
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