美術の時間…再提出②

3/5
前へ
/384ページ
次へ
「オッ!ラッキーやン。鍵開いてンで」 って確かめてから決めてや、開いてなかったらどうすんねん。 適当に向かい合わせに座り描き始めた。 静かな教室にエンビツのはしる音が響く。 お互いに何も言わず、ただたまに視線が合い俺は照れくさくなる。 ‥ンッウフフ‥ 思わず笑みが零れる。 チラッと一瞥された。 ‥アカン‥また、キッショって言われてしまうやン 慌てて緩んだ顔を引き締めて真顔になる。 「‥表情コロコロ変えんなや!描きにくい!」 「‥ゴメン‥」 怒らせるつもりないのに‥ 真面目なアイツの顔にみとれてしまう。 「なぁ‥俺後もうちょいやけど、どんなもん?」 いきなり言われて、 「えっ!俺まだや‥待ってや」 「おっそいわぁ~何やってんねン」 「黒いトコが多すぎやねん! 」 「うっさいわ!黙ってはよ描け!」 ガラガラッ~‥ 「おっ! 真面目に描いてるか?」 先生が絵を覗き込むようにやってくる。 「俺描けたからなぁ~。終了~!」 そう言って雑談を始めた。 ‥先に提出してまうか?  ナンやねん、楽しそに笑いヤガって‥ つい上目遣いで睨んでしまう。 「目付き悪いでぇー」 「生まれつきじゃ!ほっとけ!!」 先生が俺の側に来て後ろから覗く。 顔が直ぐ横で近い。 「中々良く描けたな。これでええよ。」と、言って肩に手を置く。 「ホンマに! じゃ終わりやー。井本帰ろや。」 「‥おん‥」 カバンを持って美術室を後にする。
/384ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71人が本棚に入れています
本棚に追加