上手なチョコの渡し方 ///‥

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机に座ったままのアイツと目が合った。 双眸を少し歪めて俺に近づく。ごく自然に額に手をあて、 「顔が赤いで‥熱あんやン‥」いきなり手を掴み ほらッ、保健室に行くで‥ 「‥エッ!だ‥大丈夫やで」 先程の妄想が頭をよぎる。 多分そのせいで顔が赤いンやから‥ 「マッー、次サボれるし‥行こや」 そんな風に言われると おんって頷いてしまう。 ダラダラと歩きながらいつもより視界が歪む。 ‥なんやしらんけど、頭がクラクラする ガラガラ‥ 「先生ー!コイツ熱あんでェー おらへんの?体温計はどこや?」 ‥アカンな、ホンマにクラクラしてきた。 立って居られず椅子に腰掛ける。 慌てて、井本が身体を支える。肩を借りてベッドに横たわる。 「いきなり熱上がったンとちゃうか?」 「わからへん…けど‥しんどい。」 タオルを濡らし額に当てる。 ネクタイを緩め軽くボタンを外し体温計を挟む。 …37.8 ‥…ヤッパ出てンな。 藤原を見ると少し呼吸があさい。 かなり辛そうだ。 「先生おらへんけど、大丈夫やから‥傍に居るからちょっと寝ィや」 少し熱を帯びた眼で虚ろに、 「‥ありがと‥‥」 と、言うと眼を閉じた。 結局は風邪らしく早退して帰った。 帰りしなには、フラフラで ‥大丈夫かいなぁ…と心配したが、 《家に着いた》とメールが入り安心 する。 ‥あーぁ、この分じゃアイツ明日休みや な。
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