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ベンチから立ち上がり、頬を叩いて気合いを入れる。
駅の方に歩こうとしたが
‥もしかして、ナンかあったんとちゃうやろか‥
井本を《そんな奴やない》と、信じたい自分がいるのに気付いた。
‥アハハ なんやろか 訳解らんわ。マァまた無茶言われたらカナンから 捜しにイコか‥
井本が走って行った方に歩き出す。
夕暮れには少し早い街に場違いな怒鳴り声が聞こえきた。
胸騒ぎがして、そっちの方に走り出す。
人だかりができているたこ焼き屋を見ると…‥
「なっんでやねん!おっさん!おかしいや ろーー!!」
……どんぴしゃ‥井本や…最悪……
「じゃかましわー!とっとと帰れ!クソガキ !」
「なんやとぉー!こっちは客じゃぁー!」
「ちょっ‥井本!何してんねん!」
慌て井本の肩を掴む。
「兄ちゃん コイツのツレか!? 口のききかた よぉーおせとけ!!」
「…はぁ…すんません…」
‥何で俺 謝らなアカンねん‥
「おっさんー!コイツはカンケーないやろー ! ほんで何でお前も謝ンねん!!」
「‥もっ‥もうええから‥なっ‥早よアッチ いこや‥」
井本の身体を羽交い締めにし、人だかりから遠ざかる。
「何すんねんな!‥‥
こんな店ー潰れてまえーー!!」
‥なんちゅう893さんやねん‥
頼むから止めてぇー!‥
井本を脇で抱えながら全力で その場から逃げた。
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