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頭の中を整理してみる。
井本はたかちゃんの時の事を覚えてへんみたいやし、たかちゃんは井本の時の事を覚えている。
何か本であったな、二重人格?
まさかな、‥‥けど、最近記憶がない時があるってゆうとったし‥‥
たかちゃんの顔を見ると嬉しそに俺の胸に顔を埋めて遊んでいる。
「たかちゃん?着替えてた時何処で居った?」
「‥?かじゅくんのそば。アノね、たかちゃんなぁーいつものフワフワのとこでねてるねん。かじゅくんがたかちゃんってよんでるこえきこえてん、たかちゃんへんじしたんやょ。」
ニッコリ笑って、えらいやろー、ドヤ顔をする。
「偉いなぁー。返事できたンはいつからなん?」
「えーとね、あさ!かじゅくんがギュッとしてくれた。ほんでなあ、こうやってチューしてくれたン。」
首を伸ばして俺の頬にキスをする。
「‥!」
「かじゅくん‥おきてくれへんかってん。ほんでなあ、かじゅくんがいのもとってゆうたからボクまたフワフワのとこもどってん‥‥けどちゃんとおににりたべたよ。」
「そっかぁ、たかちゃんはしばらく俺の傍に居りたい?」
きちんとたかちゃんに食べさせてあげたくなった。
「おん!けど、かじゅくんボクよりいのもとのほうがすきなんやろ?」悲しそにゆう。
小さい子どもはいっつも、いきなり核心を突きよるよな‥‥
「ウーン、難しいかも知れンけど、たかちゃんも、もう一人の人もおんなじなんよ‥‥多分どっちも《たかちゃん》なんよ。」
敢えて、《井本》と呼ばなかった。今、ここでたかちゃんが戻ってしまうと、なんやかわいそ過ぎる気がした。
「‥?‥わからへん。」首をかしげる。
クスッ、
「かずくんは、どっちも大好きやよ。たかちゃんも、もう一人も。俺が護ってあげるから心配せんでもええンやで‥‥」
瞼にキスをすると、
「かじゅくん‥‥かじゅくん‥」
何度も名前を呼んで抱き締めてくる。
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