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部屋を出てから既に、一時間近く経っている。
‥早よ帰らな、たかちゃんが目ぇ覚ましてしまう。
慌てて帰り道を急ぎ部屋に戻り荷物を冷蔵庫に片付け、すぐにベッドに向かう。
「たかちゃん‥ただいま。」
ソッとドアを開けて声をかける。
寝かし付けた筈のたかちゃんの姿があらへんーー!!
‥嘘やン?
「たかちゃん!何処におんの? !」
一番先にベランダを見る、‥鍵がかかっている。玄関に行き、靴を確認。
‥外には出てへんみたいやし、
「たかちゃん‥かくれんぼしてンか?頼むから出てきてや。」
トイレを覗くが、姿がない。
‥後は、風呂場だけや、
カチャッ、
浴室の磨りガラスに背中をくっ付けてしゃがんでいる人影が見える。
‥グスッ‥グシュ、‥グスン‥
鼻を煤って泣いている声がする。
‥拗ねてしもたンやろか、悪い事してもたな、一人で心細かったやろに‥
「‥たかちゃん!ソコに居るン?ごめんな、一人にして‥プリン買って来たから、出てきてや。」
「?‥かじゅくん‥グスン。あけんとって!」
鼻を煤って大泣きしだした。
「ごめんな、たかちゃん一人にして‥アイスクリームも買って来たから、ここ開けてや。もたれてたら開けられへんねん。」
磨りガラスに手をピッタリ付けてたかちゃんにわかるように話かける。
「ごめんな、ホンマにごめん。傍に居るよってゆうて出掛けて‥‥開けてくれる?」
「ややぁ‥かじゅくんにきりゃわれたないから、‥かじゅくん‥ごめんね‥ごめんなしゃい‥‥」
「何で謝るン?俺の方が悪い事したやン。」
「ちゃうかりゃ‥か、じゅくんわりゅない‥ボクのほうがわりゅいこやの‥‥」
泣くと段々舌足らずになっていく。
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