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「何や、兄貴おったんや。背高いし、男前やな。」
「チッ!‥知るか、あんな奴。」
不機嫌極まりない井本について中に入る。
「お邪魔します。」
「やから‥誰もおらんて。」
苦笑する。
つっけんどんにリビングに通されてソファに座る。
周りをキョロキョロしていて井本に一喝され、身体がビクッとなる。
‥落ち着かへんな。ドキドキしてなんかしでかしてしまいそや。
「あっ、そや‥これ冷蔵庫にいれといて。」
先程のケーキを手渡す。
「こんなんええのに‥」言いながらも嬉しそに箱をあける。
「プリンやン‥ケーキも、ありがとな。俺、ムッチャ好き。」
俺の顔を見てニカッと笑う。
「えっ?‥///」顔が紅潮する。
「えっ?」時間をおいて、アイツの顔も紅潮する。
「ちゃ‥ちゃうで、ここの店のケーキやで。」慌てて付け加える。
‥あっ、さよか。‥ハァ‥恥ずかし勘違いしたやん。
キッチンから皿とスプーンを持って
「今、珈琲淹れてるから」
自分は烏龍茶のボトルを持っている。
「俺もそれでええょ。」
「珈琲好きなンやろ?」
「おん。」
「ほなっ、ちょっと待ってぃや」
いつもと口調も雰囲気も違う井本に戸惑う。
‥こんなに、可愛いかったか?ちょっと優しいし。
「何か、調子狂うで‥‥」ボソッと呟くと、
「あ?何かゆうたか?‥」口元に笑みを浮かべてゆう。
「イヤ、いつもとちゃうなぁッて‥何か、雰囲気が柔らかいから‥」
怒鳴られそうで声が小さくなる。
「クスッ、そっかぁ?同じやと思うけど。」笑いながら、俺の隣に座る。
‥きょっ、距離が近い!‥嬉し過ぎー!ッて‥
そっかぁ、今日は眉間の縦皺がないねん。
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