《仮》?

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プリンを掬ったスプーンを力づくで自分の口へ‥ 「あっ!止めぇや!」 力ではどちらににも動かず、お互いプリンに顔を近付けていく。 ‥ちょっ、ムッチャ顔が近いやン。 そう気付いた時にはプリンよりも井本の頭に手を回していた。 自分の方へ引き寄せてから角度をずらし チュッ‥ リップ音をさせてから、もう一度下唇を緩く噛む。 口元から、アッ‥と声が洩れそのまま口腔に舌を‥‥ バッコーン! 「いったぁー!マジ、痛い。‥」目尻に涙が浮かんで頭を擦る。 「アッ、アホンだら!何考えてンや。‥」 耳まで真っ赤にして怒鳴る。 「やって、口を尖らせて目の前に居ったら‥つい‥‥」 「もう、ええ!コーヒー淹れてくるから」そう言って立ち上がり、テーブルのプリンを指差す。 「絶対に!食べんな。」 念を押されてしまった。 ‥しゃぁないやン‥あんなけ近かったらしてしまうって。  あーぁ、今日の分は終わりやな。 ‥でも、ムッチャ、柔らかかったぁー‥‥ キッチンでコーヒーを淹れている姿を見つめる。 ‥なんか、照れてしまうな。 ソッと近付けていくと、急に 「砂糖もミルクもいらんねんやろ?」 ‥気づいてたんや。 「おん、いらん。」 「クスッ、じっと座ってぃや。」 「‥落ち着かへんから、なぁ、横で座っててや。」 「子供か!」 「ちゃうわ‥」 すごすごと、元の場所に座る。
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