《仮》?

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片手にコーヒーを持って 「ほらっ、」と手渡される。 「ありがと。」一口飲んで、 「美味しいな‥」 「そっかぁ、おかわりあんで。」 素っ気なくゆわれても美味しそに食べ始めるアイツが可愛くて、つい微笑ンでしまう。 窓の外は、暮れなずんだ夕焼け空。 会話がなくても、ただ隣に温もりを感じていられる事に胸が熱くなる。 なんか《仮》にこだわりすぎた自分が可笑しくなった。 つい‥‥ 「こんな風に、がつつかんと、ゆったりと井本の傍に居ってたい。」 アイツが俺を見て、フッと笑うと 「せやなぁ、なんも話せんでも傍に居るのを感じれたらええなぁ。」 肩にもたれ掛かる。 「何の取り柄も無い俺やけど、傍には居れるで‥」 顔を覗き込むようにゆうと‥ 「それで充分や‥‥」 目を細めて笑う。 「なら、傍に居ってもええンか?」 「‥そうゆう事になるか‥な?」 お互いの顔が紅く染まって、二人でクスクスと笑う。 正面に向き合い、 「好きやから、傍に居させて。」と囁くと、 「フッ‥しゃぁないなぁ、特別やで。」 「ありがと。けどな、特別やなく普通に‥‥当たり前のように隣におらせてや。」 「‥特別は嫌か?あんなにゆうてたのに。」 「特別やと、一時的なもんみたいやからイヤや。ずっと一緒にいたいから‥‥当たり前になりたい。」 「さよか、俺はどっちでもええょ。‥‥‥‥‥好きやから‥‥」 食べた後の皿を持ってキッチンに、 ‥///‥‥‥えっ?今、 「ちょっ、もう一回ゆうてや!」 追いかけて、頼み込むがゆってくれない。 けど、ええねん。耳もうなじも首も真っ赤なんがわかるから‥‥ それに、今日はまだまだこれからやし‥‥ 終わり───
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