好きな御菓子

3/3
前へ
/384ページ
次へ
「兄さん買ってきました。」 「ありがと。釣りはええよ。ほなっ」 後輩を追い出し藤原の方に向き直ると 「好きなんやって?」 そう言って封を開けて差し出す。 「おん‥ありがと。」 一つ食べる。 「まだあるよ。はい。」 ニッコリ笑って差し出す。 「いや、もう‥‥」 「食べてくれへんねんや‥」ちょっと淋し気にゆうと 「ありがと。」 また、一つ食べる。 食べ終わった頃にまた、 「はい、アーン‥食べてくれるやろ?」 「‥おん‥」 延々と‥‥エンドレスで食べ続けて、 「たかちゃん‥勘弁してや。」 「ウッサイ!ちゃっちゃと食べぇや」 「グフッ‥‥もう、見るのもイヤや‥」 「何で?一番好きなんやろ。」 「いくら好きでも無理!‥‥それより嫌いになるわ。」 ‥ちょっとだけ、モヤモヤがなくなった気がするな 「じゃぁ、もう嫌いなンか?」 「おん、見るのもイヤや‥」 「そっかぁ、ほならもうええわ。」 また、ゲームを始める。 「たかちゃん‥‥一番好きってゆうたから怒ったんか?」 図星をゆわれて顔が紅くなる。 「ちゃうわ。ぼけ!‥ 」 後ろから頭を抱き抱えられ耳元で、 「不思議やね。どんなけ好きでも飽きてしまうのに‥‥俺、たかゃんに全然飽きひん。‥やっぱ、たかちゃんって凄いな。大好きや。‥‥」 「‥‥」 「たかちゃん、口直し頂戴や」 「イヤや!」 「一番好きやのに?」 「ウッサイ!」 クスクスと耳元で笑う声がする。 きっとクシャクシャの笑顔なんやろな、って思うと心がスッキリした。 コンコン‥失礼します。出番です。 ドアの向こうでスタッフさんの呼ぶ声がする。 「さぁ、行こか。」椅子から立ち上がり振り向きざまに ちゅっ‥‥ テーブルをみて、 「食べ過ぎやで。」と笑うと 「誰のせいじゃぁ、」と笑う。 ギュッと抱き締められて、 「今日はたかちゃん家行ってええ?」 「‥飽きられたら困るからイヤや」そう言って、先に楽屋を出る。 「えっ?それはないやン‥」 終───
/384ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71人が本棚に入れています
本棚に追加