スカスカ

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変に疲れた‥‥ってゆうんやろか? いつもと変わらん1人のロケ。 1人でも慣れてたはずやのに、変に右側がスカスカすんねんなぁ。 別にさみしい訳やないんや。 明日また、逢えるねんな。‥けどな、 ‥右側やないな。なーんか、スカスカすんねんなぁー。 最近は、誰かと飲んでてもそうやねん。楽しいはずやのに、‥ 自分ん家に帰る途中のタクシーで考える。 1人の仕事が嫌なわけやないねん。 皆と居って楽しくないわけやないねん。 ただ、スカスカすんねん‥‥ タクシーが赤信号で止まる。 何気なしに見た前方に見慣れた後ろ姿。 ポケットに手を突っ込んで歩いている。 「運転手さん、ここでええわ。」 慌てて降りて携帯を取りだし、かけ慣れた番号を‥‥ トゥルルルー…トゥルルルー… 前方の影が慌てて携帯を取りだしている。 「たかちゃん?仕事終わったん?」 ‥あっ、嬉しそに両手で携帯持ってやがんの。 「あぁ、お前やぁ、今どこに居んねん。」 「えっ?なっ‥何でなん?」 ‥アハハ、慌てとる。挙動不審やで。 「お前ん家行ったら、留守やんか。どこ、ほっつき歩いてんねん。」 「ホンマに!‥ちょっ、ちょ待ってて。直ぐに帰るから。」 振り返って、タクシーを停めようとした時に、俺に気付いた。 驚いて真ん丸の目が、ゆっくりと細くなりクシャクシャの笑顔に変わる。 携帯を閉じて俺は、藤原の方に歩いて行く。 藤原は両手を広げて俺を待っている。 「たかちゃん、お帰り。‥‥お疲れさんやな。」 そう言ってギュゥと抱き締めてくれた。 「ただいま。‥‥こんな時間になにしててン?」 「たかちゃん家に‥行こかなって‥‥」 「キッショ!」 「酷っ!今嬉しそにしてたやん。」 「アハハ、してへんわ。」 ‥アレッ?スカスカがちょっとだけましになった。
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