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家に帰り、風呂に入って出てくるとソファでドライヤーを持って待ち構えている。
「直ぐに乾くからせんでええんやって。」
「アカンから、風邪ひいたらどうすんねん。」
前に座らされて、おっきな手で頭をクシャクシャっと撫でるように乾かしていく。
‥いつもながら、これされると眠なんねん。
カチッ‥‥
「終わったで。‥たかちゃん?眠たいンやったら布団に行きや。」
髪を指で梳いてから、両手で頬を挟み上を向かされる。
必然的に藤原の両足に頭を挟まれる形になり、耳に暖かさを感じる。
「‥ン‥もうちょっとだけ、こうしててや。」
「どうしたン?‥えらい疲れてるやン。」
心配そな顔が逆さまに覗き込んでいる。
「ちゃうねん、なんかな、スカスカすんねんな。‥」
「スカスカ?」
「おん、」
おっきな手がおでこを何度も撫でるように、前髪をかきあげる。
‥あぁ、何かよぅわからんけど、スカスカしてたんが消えて行く気がする。
目を細めて藤原を見ると、アイツもおんなじように目を細めていた。
「たかちゃん‥スカスカまだしてる?」
クスクス笑いながら前髪を梳いていく。
「ン?‥せやな、なくなった。‥」
「そっか、良かった。‥」
「けど、何でなん?不思議やな。藤原の顔見て、一緒に居ったらなくなってたわ。‥」
それを訊いて、アイツは幸せそに笑って
「普通なそうゆうのを《逢いたかった》ってゆうんやで‥」
そう言っておでこに、キスをした。
「‥///‥!ちゃうから!!もう寝るわ!」
俺は、藤原から逃げるように布団に潜りこんだ。
リビングからは、後片付けをしながらクスクス笑っている声がしている。
‥ちゃうから!絶対にちゃうから!
そう思いながらも、後ろから抱き締めてくれるのを待っている自分に気が付いた。
《逢いたかった》わけやないねん。
やってな、今また藤原が来ぃひんからスカスカしてんねんで‥‥
理由がわかってンやったら、早よう来てこのスカスカをなんとかせぇや!!
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