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「何や、雲行きおかしいなぁ。空が暗くなってきたわ。」
俺が空を見上げて呟くと、同じ様に並んで見上げる。
「せやな、風が冷たなってきたし、雨の臭いするな。」
鼻をクンッとして臭いを嗅ぐ。
「鼻だけは利くな。‥けど、雨の匂いって何やねん。」
「ン?‥街中やったら臭いけど、こんな公園やと花ってゆうんか‥緑の‥ちゃうなぁ~まぁ、雨の匂いがあんねん。」
「そうなんや‥」
胸一杯に深呼吸してみる。
‥わからんな。
風が変わる。遠くで雷が鳴り響いている。
機材を片付け始めているスタッフの横をぬけ、ロケバスに戻る。
雨がパラパラ降りだしてきた。
そこへスタッフが入ってきてスケジュールの確認をする。
「‥と、ゆうわけで雨が上がるまで一時間程休憩でお願いします。」
わかりましたとだけ返事をして目を閉じると、‥‥
「あ"ぁ"ー!無い!俺の携帯が無い!」
いきなり井本が叫ぶ。
「何やねん。急に、」目を開けて文句をゆうと、
「ちょっ、鳴らしてや。」
仕方なく鳴らすと、反応が無い。
「チッ!‥最初の東屋に置いて来たンや。‥‥」
側に有ったビニール傘を持ってバスから出ようとする。
「雨がキツくなってきてンで、後にしたら?」
「アカン。探しに行ってくる。‥」
「俺も行こか、鳴らしたら早いやろうし。」
俺も立ち上がって傘を持つ。
「悪いな、助かる。」
バスを出てスタッフに声をかけてから二人傘を差して歩き始める。
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